奇偶


山口雅也ワールドと言うべきか。
ジャンルは一応推理小説ではあるが、内容は形而上学を中心に量子力学、哲学、現代思想をベースにした作家である主人公と登場人物との対論が殆どを占める。

家相、風水とは関係の深い易経も登場する。いやむしろ易経が中心というべきか。

私も若い頃から現代思想には強く興味を持ち、フロイト、マルクスにかぶれ、文学ではドストエフスキー、太宰の作品は全て読破し、30歳過ぎからはソシュールに強く影響を受け、レヴィストロース、フーコー、ドゥルーズ、デリダ、等々。

この本は山口雅也の見識の深さがうかがえる本だが、物語は主人公の廻りで連続して起きる不可解な事件をめぐる推理形式で易経が重要なキーワードとして展開していく。導入部からぐいぐい引き込まれ一気に読み終える。

最近は昔に比べて読書量は落ちたがそれでも月に4冊は読んでいる。
その中でもこの本は現代思想や家相風水に興味を持つ方にはお勧めの一冊だ。