住宅を取得する際にどういう理由で選択するのでしょうか。
平成25年度の国土交通省「住宅市場動向調査」によればその選択理由は、
注文住宅取得世帯は
・信頼できる住宅メーカーだったから。が44.4%で最大
分譲戸建住宅取得世帯は
・一戸建てだから。が64.3%で最大
分譲マンション取得世帯は
・住宅の立地環境がよかったから。が62.4%
注文住宅取得世帯の選択理由の「信頼できる住宅メーカーだったから」ですが
ではどういう経緯で信頼できると思われたのでしょうか。
住宅メーカの間取りは画一的です。
住宅メーカの間取りは画一的です。
何かから情報収集して精査し決定している筈ですが、
テレビ等のメディアでしょうか、チラシでしょうか。
国交省の同調査によれば情報収集方法は
注文住宅取得世帯では「住宅展示場で」
が最も多く48.4%となっています。
次に「知人の紹介」が24.5%となっています。
やはり展示場で実物を見て触れて営業マンの説明を聞いて
最終決定をしている事が解ります。
住宅展示場に足を運ぶまではテレビやチラシである程度は候補に上げて
実際に展示場でモデルハウスの中に入り、これなら信頼できると確信して
契約に至るという事でしょう。
当然、住宅メーカーは展示場のモデルハウスに力を入れます。
広々としたリビングに上部は吹抜の空間。オシャレな高級家具を配置して
実際にはオプションとなる材料や設備機器を備え、
間取りも多種多様。
パントリーにユーティリティ、ウォークインクローゼットやパウダールーム
主人書斎、娯楽室、サンルーム等々。
夢は広がります。
◆「いかがですか、奥様」営業マンが猫なで声で迫ります。
◆「イイわねぇ、でもウチの土地は狭いしコウはいかないわねぇ、予算的にも」
奥様も頭では解っています。
しかしモデルハウスの非日常空間に浸りながらでは冷静さは揺らいでいます。
◆「勿論!最大限の努力はさせていただきます。いただいた条件の中で100%の
誠心誠意でもって対応させていただきます。我社の専属の建築デザイナーも
常時スタンバってます!」
◆「まだ決めたってワケじゃないのよ、他社さんも見てみたいし」
◆「もちろんですとも、プランまではサービスでやらしていただきます。
お気に召さなければ当社の力不足ということで、結構でございます」
◆「じゃァ一度ウチの土地を見ていただこうかしら、
主人も気に入ってるみたいだし」
ご主人は3歩下がって腕組みしたまま虚空を睨んでいます。
おもむろに精一杯のバリトンを効かせて
◆「いいんじゃないか、君が良ければ」
◆「では早速ではございますが来週にでも現地に調査に伺いたいとおもいますが
来週の予定は、えーっと・・・少々お待ちください」
営業マンはスマホを取り出し各スタッフの予定を段取り良く調整し
見込み客として案件を一歩前に進めます。
徐々にプランのプレゼンが仕上がってきますが、狭小の土地に低予算の条件では
展示場のモデルハウスとは似て非なるものとなります。
しかし乗りかかった船でもあり住宅メーカーのスタッフの熱意で契約まで至ると、
いうケースが典型的なパターンではないでしょうか。
住宅メーカーとして、ここで重要なのは、丁寧な説明と希望条件に対しては
真剣に取り組む姿勢です。土地のキャパシティもあり希望条件が難しいい場合は
代替え案を提出する。
例えば書斎が容積率的にとれなければ、
夫婦寝室の一角に書斎コーナーを設けるといった具合です。
顧客は最終的には納得して、住宅メーカーの選択理由を問われれば
「信頼できる住宅メーカーだったから」ですと答える訳です。
情報収集方法の第2位の「知人の紹介」も優良な住宅メーカーは重視しています。
それには工事が完成するまでは勿論、竣工後のアフターケアも力を入れ
信頼を高める事に日々努力しています。
それにより友人や知人にも紹介しよう
という気になる訳です。
日本経済は活性化しつつありますが、まだまだの感は否めません。
この国交省「住宅市場動向調査」を真摯にとらえて努力する住宅メーカーは
生き残っていくでしょうし、そうでないメーカーはいずれ淘汰されるでしょう。